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『シンゴの旅ゆけば~!(115)ニューヨーク~アムステルダム⑦』 ねぇ、あんたが今まで経験したことのないことを、私が味合わせてあげるよ。 隣の売春宿の姉さんはそう言うのだけど、そこはまぁやんわりと断った。たぶん体重が100キロを超えてい…

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『シンゴの旅ゆけば~!(115)ニューヨーク~アムステルダム⑦』

ねぇ、あんたが今まで経験したことのないことを、私が味合わせてあげるよ。

隣の売春宿の姉さんはそう言うのだけど、そこはまぁやんわりと断った。たぶん体重が100キロを超えている黒人女性なのだけど、何しろホテルの隣だから、毎日のように顔を合わすのだ。

レッドラインの中心に行けば行くほど、飾り窓に立っている女性は若く、キレイになっていく。ほとんど中南米からの出稼ぎらしいのだけど、何しろ国が管理しているのだから、かなり厳しいルールがあるのよね。

ちょっと遅い時間に、そういう通りを歩いていると、目が合った女の子がチラッ、チラッとブラジャーをめくって、裸の胸を見せてくれる。昔はトップレスで立っている子だっていたのだけど、今はそんなことはない。チラッとサービスくらいじゃないと、監視カメラで見張っている警察が飛んでくる。レッドラインのことはなんでも聞きなって感じで、隣の姉さんはそう教えてくれた。

ところであんた、タバコちょうだい。

彼女はそう言って、ガーターベルト姿のまま、店の前の長椅子に腰掛けた。さすがに冷えてきたから、カーディガンを羽織っている。

日本人でしょ?

そうだよと答えると…BONSAIの国ねと、煙を吐き出しながら呟いた。

BONSAI?ああ、盆栽か。

当時のオランダでは盆栽が流行していたそうで、彼女はBONSAIが好きだと言った。

彼が好きなのよ。週末になると、どっかで新しいのを買ってくる。今じゃ家中BONSAIだらけよ。

名前も知らない黒人の女性(それも下着姿だ)とアムステルダムの場末で盆栽の話をしている。なんだこれは?

奇妙なことばかり旅では起こる。まぁ、そもそもどんなことだって奇妙といえば奇妙なのだけどね。

イルゼ、あんたは今どこにいるのだ?


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