熱力学第二法則。
エントロピーの増大と理解されている方が多いと思いますし、私もそうだったのですけど…それが宇宙の始まりから終わりまでに、どう関わってくるのか。『時間の終わりまで』はそのことについて書かれた本です。さまざまなシナリオが考えられるそうですけど、どう足掻いても宇宙は終わるし、人類は滅亡します。人類どころか宇宙の終焉に残るのは、おそらく宇宙空間を漂う粒子のみということになります。肉体を持っていようがいなかろうが、思考することはエントロピーを増大させることになるのですから、それがどういう形態を取っていたとしても、存在し続けることはできない。量子力学では、すでに宇宙の終わりは予想されているのです。
それなのに、①自分が1年後に消滅する。②地球が1年後に消滅する。この2つの問いかけに対して、湧いてくる気持ちが違うというのは、科学的ではない。それはそうでしょうね。1年後ではなく、おそらく数億年後というスパンにはなるでしょうけど、地球が消滅するのは確実なのですから。
でも、私も考えてみたのですけど、確かにこの2つの違いというのはかなり大きいのですね。
著者のブライアン・グリーンも、この違いに驚いたと素直に書いています。
「自分自身が死ぬのであれば、むしろテンションが上がり、退屈な日常に埋もれがちなひとときにも意味を与えようとするかもしれない。ところが、全人類の終わりとなると、何もかもが無駄に思えそうだった。地球と全人類が消滅するとわかっても、私はまだ毎朝ベッドから起き上がって、物理学の研究を続けたいと思うだろうか?」
意味の消失。つまり、そういうことになるのでしょうけど…宇宙が消滅することを誰よりも知っている彼でさえ、そう感じてしまう。
これはどういうことなのでしょうか?
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